2026年8月10日(月)
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編集長の儲け話

【検証】家賃を分配金だけで払えるのか-不動産投資信託(J-REIT)編-

毎月必ず出ていく固定費の中で、最も大きいものの一つが家賃です。

スマホ代、電気代、ガス代は、関連する企業の株を持ち、その配当金で払えるかを試算してきました。では、家賃はどうでしょうか。家賃を払っている人が、今度は不動産からの収入を受け取る側に回ることはできるのでしょうか。

今回は、不動産投資信託(J-REIT)を購入し、その分配金で月8万円の家賃をまかなう場合を試算してみます。

シリーズ:
【検証】スマホ代を株主配当だけで払えるのか-通信株編-
【検証】電気代を株主配当だけで払えるのか-電力株編-
【検証】ガス代を株主配当だけで払えるのか-ガス株編-

そもそも不動産投資信託(J-REIT)とは何か

まず、不動産投資信託(J-REIT)について簡単に説明します。不動産投資信託(J-REIT)とは、投資家から集めたお金でマンション、オフィスビル、商業施設、物流施設、ホテルなどを保有し、そこから得られる賃料収入や売却益などを投資家に分配する仕組みです。

自分一人でマンションやビルを買うには、数千万円から数億円の資金が必要になります。しかし、不動産投資信託(J-REIT)であれば、証券会社を通じて、より少ない金額から不動産に投資することができます。

つまり、実物のマンションを買わなくても、不動産収入の一部を受け取れる仕組みです。ここが、今回の大きなポイントです。家賃を払うだけの人から、不動産収入を受け取る人へ。不動産投資信託(J-REIT)は、その視点の転換を可能にする金融商品です。

不動産投資信託(J-REIT)は株ではない

ここで注意したいのは、不動産投資信託(J-REIT)は株式そのものではないという点です。株のように証券会社で売買できますが、正確には「投資証券」です。

株式の場合は、企業の株主になります。一方、不動産投資信託(J-REIT)の場合は、不動産を保有する投資法人の投資口を持つことになります。受け取るお金も、株式の「配当金」ではなく、不動産投資信託(J-REIT)では「分配金」と呼ばれます。

この違いは少し分かりにくいですが、ざっくり言えば、株式は企業の利益から配当を受け取るもの。不動産投資信託(J-REIT)は、不動産の賃料収入などから分配金を受け取るもの。と考えると分かりやすいと思います。

どこで買えるのか

不動産投資信託(J-REIT)は、証券会社で購入できます。SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券など、国内株式を取り扱っている証券会社であれば、多くの場合、不動産投資信託(J-REIT)も売買できます。

購入方法も、基本的には株式に近いです。証券会社の取引画面で、銘柄名や証券コードを検索し、購入したい口数と価格を指定して注文します。株式でいう「株数」に近いものが、不動産投資信託(J-REIT)では「口数」や「投資口」です。

不動産投資信託(J-REIT)を買う場合は、証券会社の検索窓で、「REIT」「J-REIT」「不動産投資信託」「銘柄名」「証券コード」などを入れて探すことになります。

また、個別の不動産投資信託(J-REIT)を選ぶのが難しい場合は、複数の不動産投資信託(J-REIT)にまとめて投資できるETFという選択肢もあります。つまり、買い方としては大きく分けて、個別の不動産投資信託(J-REIT)を買う方法と、不動産投資信託(J-REIT)全体に連動するETFを買う方法の2つがあります。

今回の前提

今回は、家賃を月8万円、年間96万円として試算します。家賃は地域や住まい方によって大きく変わります。月5万円なら年間60万円。月8万円なら年間96万円。月10万円なら年間120万円。月15万円なら年間180万円です。

今回は、単身者から夫婦世帯まで幅広く想定しやすい金額として、月8万円を基準にします。不動産投資信託(J-REIT)の分配金利回りは時期によって変わりますが、今回は分配金利回りを年5.07%として試算します。これはあくまで単純計算です。実際の分配金利回りは銘柄によって異なり、将来の分配金が保証されているわけでもありません。

月8万円の家賃を分配金で払うには?

月8万円の家賃を年間分で考えると、年間96万円です。この96万円を不動産投資信託(J-REIT)の分配金でまかなうには、どれくらいの投資元本が必要なのでしょうか。

分配金利回りを5.07%として計算すると、

96万円 ÷ 5.07% = 約1,894万円

となります。つまり、月8万円の家賃を不動産投資信託(J-REIT)の分配金だけで払うには、約1,900万円の投資元本が必要になる計算です。

これはかなり大きな金額です。スマホ代、電気代、ガス代とは桁が違います。家賃は毎月の固定費の中でも特に重い支出です。そのため、分配金だけでまかなうには、必要な元本もかなり大きくなります。

月10万円なら必要元本は約2,400万円

今回は月8万円の家賃を基準にしています。もし家賃が月10万円なら、年間家賃は120万円です。分配金利回り5.07%で計算すると、必要元本は約2,367万円になります。

月15万円なら、年間家賃は180万円。必要元本は約3,550万円です。ここまで来ると、家賃を分配金だけで払うというのは、かなり難しい目標になります。

計算上は可能です。しかし、誰でもすぐに実現できる話ではありません。だからこそ、最初から家賃全額を目指すのではなく、まずは家賃の一部を分配金でまかなうと考えた方が現実的です。

まずは家賃1万円分を目標にする

いきなり月8万円の家賃すべてを分配金で払おうとすると、約1,900万円が必要になります。しかし、家賃のうち1万円分だけを分配金で払うと考えれば、少し現実味が出てきます。

月1万円なら、年間12万円です。分配金利回り5.07%で考えると、必要元本は約237万円です。これは小さい金額ではありません。しかし、NISAの成長投資枠を使って数年かけて積み上げるなら、現実的な目標として考えられる人もいるはずです。

家賃をすべて払うのではなく、まずは家賃1万円分。次に2万円分。そして将来的に3万円分、5万円分と増やしていく。不動産投資信託(J-REIT)は、このように固定費の一部を分配金で置き換える考え方と相性があります。

NISAで買えるのか

不動産投資信託(J-REIT)は、NISAの成長投資枠で購入できます。NISAで購入した場合、売却益や分配金が非課税になるメリットがあります。

ただし、NISAには投資枠の上限があります。NISA全体の非課税保有限度額は1,800万円ですが、そのうち成長投資枠として使えるのは最大1,200万円までです。今回の試算では、月8万円の家賃を不動産投資信託(J-REIT)の分配金だけで払うには約1,900万円が必要になるため、すべてをNISAだけでまかなうことは難しい計算になります。

また、ここでも注意が必要です。不動産投資信託(J-REIT)の分配金をNISAで非課税にするには、証券会社の配当金・分配金の受取方式を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。銀行口座で受け取る方式などを選んでいると、NISAで保有していても非課税にならない場合があります。これは株式の配当金と同じ注意点です。

不動産投資信託(J-REIT)のリスク

不動産投資信託(J-REIT)は、株式のように手軽に売買できます。しかし、中身は不動産です。そのため、株式とは違うリスクがあります。

まず、不動産価格が下がれば、不動産投資信託(J-REIT)の価格も下がる可能性があります。賃料が下がったり、空室率が上がったりすれば、分配金が減ることもあります。

さらに、金利上昇も大きなリスクです。不動産投資信託(J-REIT)は、物件を取得するために借入を使っています。金利が上がれば借入コストが増え、収益を圧迫する可能性があります。また、地震や火災などの災害リスクもあります。

株と同じように売買できるからといって、株と同じリスクの商品だと考えるのは危険です。不動産投資信託(J-REIT)は、株式ではなく、不動産に近い金融商品です。そこは必ず理解しておく必要があります。

どの不動産投資信託(J-REIT)を選ぶか

不動産投資信託(J-REIT)といっても、中身はさまざまです。住宅を中心に持つもの、オフィスビルを中心に持つもの、商業施設を持つもの、物流施設を持つもの、ホテルを持つもの、複数の用途を組み合わせた総合型もあります。

家賃を分配金で払うというテーマだけで考えるなら、住宅系の不動産投資信託(J-REIT)はイメージしやすいかもしれません。一方で、インバウンド需要を狙うならホテル系、EC需要を狙うなら物流系、景気回復を狙うならオフィス系という見方もあります。

ただし、分配金利回りが高いものほど安全というわけではありません。利回りが高いということは、価格が下がっている可能性もあります。物件の質はどうか。空室率はどうか。借入比率は高すぎないか。分配金は安定しているか。こうした点を見る必要があります。

📝 編集長メモ

不動産投資信託(J-REIT)は、投資家から集めた資金で不動産を保有し、賃料収入などを分配する仕組みです。月8万円の家賃を分配金だけで払うには、利回り5.07%で約1,900万円の元本が必要になります。株のように買えますが、中身は不動産です。家賃を払う側から受け取る側に回れる一方で、不動産価格、金利、空室率、災害などのリスクもあるため、投資判断は慎重に行う必要があります。

💰 編集長の儲け話

動産投資信託(J-REIT)は株式と違い、価格の背景にあるのは不動産の価値です。現在、日本の不動産価格は上昇しており、都内の不動産はすでに実際に住みたい人が買いにくい価格まで上がっています。投機的な取引への警戒も出ており、今後、住宅ローン金利が上昇することを考えても、慎重に見たい投資対象です。一方で、香港や海外主要都市と比べると、東京の不動産はまだ割安と見る声もあります。つまり、上昇余地があるという考え方もできます。ただし、買うタイミングを間違えれば、分配金を受け取っていても元本を大きく減らす可能性があります。投資とは、増やすことだけではありません。損をしないことも、立派な投資の考え方です。

※本コーナーは編集長個人の見解です。投資等の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

桜坂武志

桜坂武志

もこもコラム 編集長

💰 編集長の儲け話 特集

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