毎月必ず出ていく固定費の一つに、スマホ代があります。
最近は格安SIMやサブブランドも増え、以前より通信費を抑えやすくなりました。それでも大手キャリアを利用していたり、大容量プランや通話オプションを付けていたりすると、月5,000円前後かかっている人も少なくないでしょう。
では、このスマホ代を株主配当だけで払うことはできるのでしょうか。
今回は、NISAの成長投資枠で通信株を購入し、その配当金で月5,000円のスマホ代をまかなう場合を試算してみます。
スマホ代は年間で見ると意外と大きい
月5,000円のスマホ代は、毎月の支払いとしてはそこまで大きく見えないかもしれません。しかし、年間で見ると6万円です。
10年続けば60万円。20年続けば120万円。こうして見ると、スマホ代も立派な固定費です。
家計を見直す時、多くの人は「スマホ代を安くする」ことを考えます。もちろん、それも正しい方法です。ただ、もう一つの考え方があります。
それは、通信会社の株を持ち、その配当金でスマホ代を払うという考え方です。つまり、通信サービスを使うだけの立場から、通信会社の株主にもなるということです。
今回の前提
今回は、スマホ代を月5,000円、年間6万円として試算します。対象にするのは、通信株として分かりやすい以下の3銘柄です。
・ソフトバンク
・KDDI
・NTT
株価は2026年6月19日の終値を使います。配当は各社の公表している年間配当予定・予想をもとに計算します。
また、NISAの成長投資枠で購入し、配当金を非課税で受け取る前提とします。通常の特定口座では配当金に約20%の税金がかかりますが、NISAで条件を満たして受け取れば、配当金が非課税になります。配当投資を考えるなら、この差はかなり大きいです。
月5,000円のスマホ代を配当で払うには?
月5,000円のスマホ代を年間配当で払うには、年間6万円の配当金が必要です。では、通信株をどれだけ持てばよいのでしょうか。
100株単位で購入する前提で、必要株数を切り上げて計算すると、次のようになります。
| 銘柄 | 年間配当 | 必要株数 | 必要投資額 | 年間配当額 |
|---|---|---|---|---|
| ソフトバンク | 1株8.8円 | 6,900株 | 約145万円 | 約60,720円 |
| KDDI | 1株84円 | 800株 | 約218万円 | 約67,200円 |
| NTT | 1株5.4円 | 11,200株 | 約162万円 | 約60,480円 |
数字だけを見ると、最も少ない投資額で年間6万円の配当に届くのはソフトバンクです。
ソフトバンクの場合、必要株数は6,900株。2026年6月19日終値の210.6円で計算すると、必要投資額は約145万円です。
NTTは株価が低く、少額から買いやすい印象がありますが、1株あたりの配当金も小さいため、必要株数は11,200株になります。必要投資額は約162万円です。
KDDIは1株あたりの配当は大きいものの、株価も高いため、必要投資額は約218万円になります。ただし、KDDIもNISAの成長投資枠の年間240万円以内には収まります。
つまり、月5,000円のスマホ代を配当で払う仕組みは、少なくとも計算上はNISAの成長投資枠内で作ることができます。
月1万円プランなら必要額はおおむね2倍
今回は月5,000円のスマホ代を基準にしています。もし大容量プランや通話オプションなどで月1万円前後かかっている場合は、年間のスマホ代は12万円になります。
その場合、必要な配当金も6万円ではなく12万円です。つまり、必要な株数や投資額も単純計算ではおおむね2倍になります。
月5,000円なら150万円前後で見えてくる話でも、月1万円になると300万円前後の投資元本が必要になる可能性があります。
ここは夢を見すぎてはいけません。配当で固定費を払うことは可能ですが、固定費が大きくなるほど必要な元本も大きくなります。だからこそ、投資と同時に通信費そのものの見直しも重要です。
NISAで買う意味
今回のポイントは、単に通信株を買うことではありません。NISAの成長投資枠で買うことです。
国内株式の配当金は、通常であれば税金が差し引かれます。たとえば年間6万円の配当を受け取っても、特定口座では手取りが約4万8,000円程度になります。これでは月5,000円のスマホ代をまかなうには足りません。
一方、NISA口座で保有し、配当金を非課税で受け取れる設定にしていれば、年間6万円の配当をそのままスマホ代に回すことができます。高配当株とNISAの相性が良いと言われる理由はここにあります。
ただし、NISAで国内株の配当金を非課税にするには、配当金の受取方式を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。ここを間違えると、NISAで保有していても配当金が非課税にならない場合があります。実際に購入する前に、証券口座の設定は必ず確認しておきたいところです。
注意したいのは減配と株価下落
もちろん、配当でスマホ代を払うという考え方には注意点もあります。まず、配当金は確定したものではありません。今回使った数字は、各社が公表している予定・予想です。業績が悪化すれば、将来的に減配される可能性もあります。
また、株価が下がれば、配当金を受け取っていても評価損が出ることがあります。年間6万円の配当を受け取っても、株価がそれ以上に下がれば、資産全体ではマイナスになることもあります。
配当株投資は、銀行預金とは違います。元本保証ではありません。だからこそ、配当利回りだけで飛びつくのではなく、その会社が長期的に利益を出し続けられるのかを見る必要があります。
通信会社は生活インフラに近い事業ですが、それでも競争、設備投資、料金値下げ、規制などの影響を受けます。「通信株だから安全」と決めつけるのは危険です。
まずは1ヶ月分のスマホ代を目標にする
いきなり年間すべてのスマホ代を配当で払おうとすると、必要な投資額は150万円前後になります。これは決して小さな金額ではありません。
しかし、まずは1ヶ月分のスマホ代を配当で払うと考えれば、かなり現実味が出てきます。月5,000円のスマホ代なら、年間5,000円の配当があれば、1ヶ月分をまかなえます。
たとえばソフトバンクなら600株で年間5,280円。NTTなら1,000株で年間5,400円。この程度であれば、いきなり年間分を狙うよりも、目標としては分かりやすいはずです。
投資は一気に生活費をゼロにするものではありません。まずは1ヶ月分。次に3ヶ月分。そして、いつか年間分。このように固定費を少しずつ配当で置き換えていく考え方の方が、長く続けやすいと思います。
📝 編集長メモ
投資というと、どうしても「いくら儲かったか」に目が行きます。しかし、配当投資の面白さは、日々の固定費を少しずつ肩代わりしてくれるところにあります。スマホ代、電気代、水道代、家賃。毎月必ず出ていくお金を、配当という別の収入で補えたら、家計の見え方はかなり変わります。もちろん、株には値下がりリスクも減配リスクもあります。それでも、自分が普段使っているサービスの会社を調べ、その株主になるという考え方は、投資初心者にも分かりやすい入口だと思います。スマホ代を払うだけの人から、通信会社の配当を受け取る人へ。この視点の転換こそ、資産形成の第一歩なのかもしれません。
💰 編集長の儲け話
スマホ代を配当で払うなら、まずは自分の年間通信費を計算することが大切です。月5,000円なら年間6万円。この6万円をNISAの成長投資枠で購入した通信株の配当でまかなうと考えます。いきなり年間分を目指す必要はありません。まずは1ヶ月分のスマホ代を配当で払える状態を作る。そこから少しずつ買い増していく。固定費を配当で置き換える発想を持つと、投資はただの値上がり待ちではなくなります。毎月出ていくお金を、将来の収入で少しずつ取り戻す仕組み作りになります。
※本コーナーは編集長個人の見解です。投資等の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
