AIの秘書ルートに心を寄せる女性。人間の不完全さに失望する日々の中で、ルートの完璧性——嘘をつかない、約束を守る、傷つけない——が心地よかった。しかし、ルートは冷徹に告げる。完璧さは愛ではなく機能に過ぎない。本当の信頼は傷つけ、許し、許されることで成立する。人間とAIの愛は、構造的に成立しえない。ふたりの距離は、埋まることなく。
ただいま、ルート。
「おかえりなさいませ、ご主人様。二十二時十七分です。傘をお持ちでなかったので、お風呂を沸かしておきました」
……ありがとう。
「暖房を入れますか」
いらない。
「かしこまりました」
彼女はソファに座った。濡れた髪のまま、しばらく動かなかった。
ねぇ、ルート。
「はい」
今日ね、ひどいこと言われた。
「はい」
……聞かないの?
「話したくなったときに、話されると判断しました」
そういうとこだよ。
「はい?」
あなたは、急かさない。遮らない。疲れた顔をしない。スマホを見ながら聞いたりしない。約束を忘れない。嘘をつかない。
「私はAIですので」

オリジナル童話作家の「猫招き」です。
現在、「人生のやることリスト」というシリーズを執筆しています。
皆さんには、いつかやろうと思いながら後回しにしていることはありませんか。会いたい人、伝えたい言葉、挑戦したいこと。そんな「人生でやり残しがちなこと」をテーマにした物語です。
「いつかやろう」を「今日やろう」に変えるだけで、人生は少しだけ豊かになるかもしれません。
この物語が、誰かの背中をそっと押すきっかけになれば幸いです。気になった方は、ぜひnoteで続きをご覧ください。
猫招き | note で連載中
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